2011年9月30日金曜日

藤原益栄(2002)『文学・歴史を読み解くための 暦のはなし』 頂いた感想①

東京都 大谷三郎さん(六十四歳)
 
 古文書や歴史書を読むにつけ旧暦についてもっと知識を深く得たいと考える人は年々増えていると思います。

 明治生まれの私の父母は、干支で年月・時刻をみ、合わせて新暦も使っていました。
 親が他界して以後、日常に旧暦を耳にすることがなくなって四十数年になります。「旧暦」について理解の浅さを痛感し、深く知りたいと思い続けていたので本書との出会いは幸いでした。

 「暦のはなし」は暦の変遷を体系的に分析・解明され、現在の新暦にいたる背景が詳しく書かれています。しかし、暦自体、奥深い歴史と内容を持っているので一度に全部を習得できなくてもくり返し読み、必要に応じて本書を取り出し、首っ引きすることで読書の収穫が大いにあがることがわかり、資料としての価値を高く買っております。

 通読して暦に対する著者の熱意と研究姿勢に敬服しました。従来の新旧比較換算方法の誤りを正したことは歴史的な功績ではないでしょうか。第十章は感動しながら読みました。理数系の頭脳から打ち出される論理性高い一字一句が、高い人格と哲学・人生観から出ていることに驚きと感動をもって読んでいます。

 「多賀城」の項から、以前藤原三代記その他などで深い関心を持ったことを思い起こさせてくれました。これを機に「暦のはなし」を携えて多賀城と東北地方の歴史探訪をしてみようと考えております。

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